A=440の音叉だけでギターのチューニング 2つの周波数のゆらぎの活用
こんな人向けの内容
- ギターをチューナー無しでチューニングできるようになりたい人
- いつもチューナーでチューニングしてるけど音感を鍛えるためにもチューナー無しでやるクセをつけたい人
- チューナーがあまり信用できない人
- チューナーより音叉の方が安いし、それでチューニングできるならコストを抑えたい人
- 高校物理で習った「波のゆらぎ」が何の役に立つのかのひとつの答えが欲しい人
はじめに
ギターを弾く前に必ずやるチューニングに関する話です。チューナーを使った方法が正確で初心者でも簡単にできるので定番ですが、チューナーが無くても「音の聴き方」を知ってるだけで正確にチューニングすることができます。もちろん絶対音感も相対音感も必要ありません。
あらかじめ知っておきたい使う原理
高校物理で習う「波」の単元で「近い周波数の2つの波を重ねると、それらの周波数差の周波数を持つ『ゆらぎ』が生まれる」という性質を使います。音も波の一種なので、例えば440Hzの音と441Hzの音の波を重ねると、441-440=1で「1Hzのゆらぎ」が生じるということです。
実際の方法
まず5弦からチューニングします。5弦5フレットでハーモニクスを鳴らします。音が消えないうちに音叉を鳴らして音叉は表面版に当ててギターのボディに響かせます。こうすることで2つの音波を重ねます。
重なった音を聴くと2つの音以外に「ふわんふわん」という「動きのわかる波」があることがわかるでしょうか。これが「ゆらぎ」です。
ここで背景を確認します。5限は正確にチューニングすれば110HzのA(ラ)の音なので、5フレットのハーモニクスではその4倍音の440HzのAが鳴るはずです。しかしチューニングされていない状態では5弦は正確な110Hzではなく、95Hz~115Hzくらいになっています。その音の4倍音(95×4~115×4)がハーモニクスによって鳴り、音叉の440Hzとゆらぎを生み出しているわけです。
このゆらぎができるだけ「長い波」になるようにペグをほんの少しずつ回して調整します。目安は「1秒で1回のゆらぎの波(1Hzのゆらぎ)」になるくらいです。
5弦のチューニングが終わったら6弦をチューニングします。今度は6弦の5フレットハーモニクスと5弦の7フレットハーモニクスをポンポーンと鳴らして重ねます。チューニングが正確であればこの2つも同じ音が鳴り、ゆらぎはないはずですが6弦が正確でないためゆらぎが生じます。またゆらぎが長い波になるように6弦のピッチを調整していきます。
同じように「5弦5フレットハーモニクスと4弦7フレットハーモニクス」、「4弦5フレットハーモニクスと3弦7フレットハーモニクス」でチューニングしていきます。
ここで注意しなければいけない場所になります。3弦と2弦の音の差は「完全4度(フレット5個分)では無く、長3度(フレット4個分)」のため、今までの方法が使えないのです。
ではどうすればいいのかというと、すでにチューニング済みの3弦4フレットのB(シ:247Hz)の音を使えば良いのです。2弦開放もB(247Hz)の音なのでゆらぎの有無を確かめることができます。
最後の1弦は2弦と完全4度の音程差なので、「2弦5フレットハーモニクスと1弦7フレットハーモニクス」でチューニングできます。
以上お疲れ様でした!
まとめ
- 「重ねた音波のゆらぎ」を聴くことでチューニングのズレを把握できる
- 音叉を使うのは5弦の時だけ
- ハーモニクスを使って波を重ね合わせ、ゆらぎがなくなるように調整する
- 2弦だけは3弦4フレットの音を使って合わせる
本筋から外れますが、このゆらぎを「わざと使って」音色に利用したのがシンセサイザーの「Detune」です。